きょうからFOMCが始まっており、明日の現地時間午後(日本時間17日午前3時頃)に結果が発表され、0.25%の利上げ開始が確実視されている。今回はパウエル議長の会見のほかにFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)や経済見通しも公表される。市場はそれらを通じてFRBは追加利上げを示唆すると見ているようだ。ただ、それ自体は既に織り込み済み。
一部からは、0.50%の大幅利上げの可能性を示唆するほどタカ派にはならないとの見方も出ている。もっとも、成長鈍化の明確な兆候がない限り、ハト派シナリオを検討することもないという。市場は今回を含めて7回の利上げを見込んでおり、それは全てのFOMCでの利上げを意味する。ただ、今回のドット・プロットでFOMCメンバーは、年内5回の利上げ予想に留めるという。また、実質賃金の下落と可処分所得の減少により、7月以降は利上げサイクルを一旦停止する可能性があるとも指摘。
もし、指摘通りであれば、現在のドル売りの流れが加速する可能性もありそうだ。ただ、ドル円に関しては株高も想定されることから、円安の反応が相殺する可能性も留意される。
ユーロドルはロンドン時間に一時1.10ドル台に買い戻されたものの、1.10ドル台は維持できずに1.09ドル台に下落。一時1.0930ドル付近まで下落し、上値の重さが感じられる値動きではあった。市場はウクライナとロシアの停戦交渉を楽観視しており、ここ数日のユーロドルは買い戻しが膨らんでいる。原油も急速に上げを戻しており、株式市場も買い戻しが膨らんでいる。
しかし、実際に停戦交渉に具体的進展は何もなく、いまのところは期待感の域を出ない。もし、交渉が不調に終わるようであれば、ユーロは特に売られ易いという。実際、米商品先物協会(CFTC)が発表しているIMM投機筋の建玉報告によると、紛争勃発後も投資家はユーロに投資を行っており、ポジションの買い越しはさほど減っていない。紛争がさらにエスカレートした場合、ユーロはさらに脆弱になる余地を十分に残しているという。
ポンドドルも買い戻しが膨らんだ。この日発表の英雇用統計は予想を上回る良好な内容となった。ウクライナ情勢に市場の関心が集中する中、それ自体へのポンドの反応は限定的だったものの、今週の英中銀金融政策委員会(MPC)での利上げ期待を裏付ける内容ではあった。
一部からは、英中銀は保有する英国債が売却基準に達した後も、長い協議が必要になりそうだとの指摘が出ている。今週のMPCでは0.25%の利上げが確実視されているが、市場では5月にも追加利上げを行うとの見方が多い。その場合、政策金利は1.00%に達するが、その金利水準は英中銀が保有国債の売却開始の最低条件としている。しかし、このところの英中銀からのシグナルは、売却が始まるまでに数週間から数カ月のタイムラグがあることを示唆している。売却の基準には達するものの、ウクライナ危機が見通しを不透明にしており、売却が市場に動揺を与えることを懸念している。今週のMPCで、その辺についての何らかのヒントが出るかも注目される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美