市場からは、FRBの積極引き締めとインフレを警戒した動きに修正が出ているとの指摘も出ている。このところのインフレに対するパニック的な動きは行き過ぎとの声も相次いぎ、「インフレは今期がピークで、2023年に向けて着実に低下し、それに伴って市場も次第に落ち着き、金利は低下の可能性がある」とのコメントも聞かれた。
本邦勢からは円安が経済に与える影響を警戒する声が相次いでいる。ひとまず130円台乗せは回避された格好となっているが、明日以降の動きが注目。日銀はきょうも指値オペを通告しており、緩和解除の意向はまだないようだ。
ユーロドルは買い戻しが出ており、一時1.0860ドル付近まで反発。ECB内からはタカ派な意見も出て、ユーロドルの上げをサポート。タカ派で知られるドイツ連銀のナーゲル総裁が、「資産購入プロフラム(APP)は4-6月(第2四半期)末で終了し、7ー9月(第3四半期)の初めに利上げを実施する可能性がある」と語った。8月はECB理事会がないので事実上、7月の理事会での利上げということになる。APPについてECBは先日の理事会で、7ー9月に購入終了とのガイダンスを発表していた。
ナーゲル総裁はインフレが2%へと落ち着く公算は一段と小さくなりつつあると指摘。経済見通しは強い不確実性に左右されると述べた上で、ECBの利上げの頻度は経済データ次第だとの認識を示した。ロシアからの天然ガスの禁輸措置が講じられた場合、インフレは2桁に上昇する可能性があるとも警告し、スタグフレーションのシナリオは避けなければならないとも述べていた。
ポンドドルは1.3060ドル付近まで買い戻され、1.30ドル台を死守している。ただ、対ユーロや円では軟調に推移し、英経済への警戒感がポンドを圧迫している模様。
前日はIMFが世界経済見通し(WEO)で、G7の中でも英経済は厳しい衝撃に見舞われると警告した。前日のIMFの報告について市場からは、IMFの英成長見通しの下方修正はポンド対する課題を示していると指摘も聞かれる。英政府の財政引き締めを理由に、今年の残りの期間、英成長は非常に弱くなる可能性が高く、市場の期待ほど英中銀は利上げに積極的になれないという。0.25%でさらに2回の利上げを実施し、その後は一時停止すると想定していると述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美