一方で、FRBが軸足を成長へシフトするとの期待は時期尚早との声も根強い。米政策金利の誘導目標は3.50%-3.75%の水準まで上昇する可能性はなお十分にあるという。今回はあくまで夏場の調整の範囲との指摘もあるようだ。目先の下値サポートとしては131.50円が意識される。
この日は7月のISM製造業景気指数が発表され、52.8と前回からほぼ変わらずの水準となった。予想は若干上回った。2年ぶりの低水準ではあるが、前回縮小に転じた新規受注がさらに悪化し、雇用は上昇したものの50を下回る水準。一方、サプライチェーン問題は緩和しているようで、在庫拡大や仕入れ価格の大幅な低下が見られた。在庫指数は1984年以来の高水準となった。サプライチェーンにおける過剰在庫への不安が高まる中、新規受注が2カ月連続で低下し、今回の指数は景気軟化に対する懸念を表しているとの指摘も聞かれた。。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.0275ドル付近まで買い戻された。ただ、最近のドル売りや金曜日のユーロ圏GDPおよびインフレが予想を上回ったものの、その割には上値追いに消極的な印象も強い。21日線を上回って推移はしているものの、1.02ドルちょど水準がアンカーになり上値への浮上を妨げている印象だ。
ロシアからのガス供給やイタリアの政治不安など、ユーロ圏の見通しに対する外部要因が依然として非常に不透明であることが、ユーロロング再開に消極的にしているものと思われる。対ポンドや円では軟調な動き。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.22ドル台後半まで買い戻されている。21日線を上放れ、リバウンド相場の展開を続けている。1.23ドルより上には売り圧力も控えている模様。
英国では事実上の次期首相を決める与党保守党の党首選が大詰めに来ているが、トラス外相が最有力と見られている。ただ、ポンはいまのところ無関心なようだ。ただ、市場からはトラス氏が主張する300億-400億ポンド規模の財政緩和策であれば、金融引き締めを必要とする可能性が高いとの指摘も聞かれ、その場合はポンド高に繋がる可能性もあるという。
しかし、トラス氏の首相就任が確実視されるようになっても、それに伴ってポンドが自律的に上昇したという証拠はほとんどない。市場はおそらく、党首選の候補者が掲げた公約が完全に実現する可能性は低いと見ている可能性もあるという。また、大幅な財政緩和策は英財政赤字と経常赤字を拡大させ、海外からの資金調達のためにポンドが下落するリスクを高める可能性もある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美