ISM指数は56.1と予想外に上昇に転じたことが、ドル買いを誘発した模様。米国債利回りも上げを加速させており、ドル円の買い戻しを誘っているようだ。ただ、ISM指数は予想を上回ったとは言え、なお低下傾向を示している。やや過剰反応とも思われるが、やはり6月相場はドル高を期待する向きが多いのかもしれない。
前日のバイデン大統領とパウエルFRB議長、イエレン米財務長官との会談でもバイデン大統領の最優先事項はインフレと言及していた。欧州でも、EUによるロシアからの原油禁輸措置の影響に対する懸念もあり、米国債利回りは再び上昇し、ドル円の買い戻しをサポート。先週の市場ではFRBが秋にも利上げを一時停止するのではとの観測も出ていたが、それらの憶測はいまのところ抑えられており、徐々にドル高への基礎を築いているという。
ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.06ドル台前半に下落。本日は1.0590ドル付近に21日線が来ており、目先の下値メドとして意識される。
来週6月9日にECB理事会が予定されており注目となるが、ECBは6月の理事会で正常化について非常に明確なメッセージを出すとの見方が出ている。市場は利上げ期待を高めているが、6月の理事会ではそれは見送られることが確実視されている。しかし、インフレが大幅に上昇する中、その次の7月理事会での利上げ開始に向けて政策の正常化が始まるという非常に明確なメッセージを出すと見ているようだ。ただ、7月の利上げ以降は成長とインフレの組み合わせの変化に大きく左右されるという。
ECBが年内に中銀預金金利を計0.75%ポイント引き上げて、現在のマイナス0.50%からプラス0.25%まで引き上げると予想。一部からは年内に計1.00%ポイント引き上げるのではとのタカ派な見方も出ているが、下期に経済活動が大幅に鈍化する可能性を考慮すれば、年内に計1.00%ポイントの利上げ期待は行き過ぎとも指摘している。
ポンドドルは1.24ドル台に下落。本日の21日線は1.2450ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
英経済にリセッション(景気後退)の警戒感が強まる中、英中銀はこれまでの積極利上げのスタンスに慎重になっている。次回の金融政策委員会(MPC)では利上げが確実視されているものの、それ以降については一旦様子を見るのではとの観測も出ている。しかし、短期金融市場は積極利上げへの期待を崩しておらず、年内あと5回の政策委員会で、いずれも0.25%ポイントの連続利上げを織り込んでいる。もし、期待通りであれば、通年で計2.00%ポイントの利上げとなり、1989年以来の利上げ幅となる。
きょうはカナダ中銀が金融政策委員会の結果を発表し、大方の予想通りに0.50%ポイントの利上げを実施した。カナダドルは買いの反応を見せ、対円では102円台後半に上昇。カナダ中銀は声明で「金利はさらに上昇する必要がある」と追加利上げの可能性を示唆したほか、「必要であればさらに強硬な手段に出る」とも警告した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美