この日発表の7月調査分のミシガン大消費者信頼感指数の速報値を受けてドル売りが強まる場面も見られた。指数は51.1と予想の50.0を上回った。ただ市場は、5-10年先のインフレ期待値が2.8%と、3.0%を下回ったことに敏感に反応した模様。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で同数値に言及していたことから注目を集めていた。
市場では先週の強い米消費者物価指数(CPI)を受けて、今月のFOMCでの1.00%ポイントの利上げ観測が広がっている。ただ、0.75%ポイントを支持するFOMCメンバーの発言が伝わったことや、本日のミシガン大消費者信頼感指数を受けて、その期待は後退。FOMCメンバーは火消しに回っている印象もある。前日の短期金融市場では1.00%ポイントの利上げの確率が一時85%程度まで高まっていたが、現在は30%程度まで急低下している。
ただ一部からは、ドルは現在の高値水準で安定の一方、下落余地も限られ、目先のリスクは上方向との指摘も出ている。ドルは安全資産の位置づけとなっているが、リスク回避によって下落が抑制され、市場の米利上げ期待が高まることによってさらに上昇する可能性もあるという。7月に1.00%ポイントの利上げを行う十分な根拠はないものの、可能性が完全に否定されたわけでもなく、市場がそれ期待し続ける可能性は排除できないとしている。
ユーロドルは買い戻しが優勢となっている。きょうは1.00ドル台後半まで上昇し、目先は1.01ドル台まで回復できるか注目される。しかし、今週のユーロドルは一時パリティ(1.00ドル)を割り込み、0.99ドル台半ばまで急落した。20年ぶりの安値水準。
ECBがユーロ急落をどう見ているか注目されるが、市場からは、最近のユーロ急落もECBは来週の理事会でユーロに関する表現を変える可能性は低いとの声も出ている。ECBは恐らく「ユーロの水準を目標とはしないが、インフレ見通しに与える影響には注意を払う」との文言を繰り返す可能性が高いとしている。現在のユーロ安は金利差の影響が大きく、ECBが他の中央銀行よりも小幅な利上げを行っている限り、ユーロが強含むことはないという。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、一時1.18ドル台後半まで上昇。ただ、買戻しを活発化させようという雰囲気まではない。英国の景気後退への懸念と政治的不透明感がポンドの重しとなっており、2年超ぶりの安値水準に留まっている状況。
保守党党首選が続いており、候補者も徐々に絞られている。ただ、明確なフロントランナーが不在の中で、市場は今後の経済政策、特にEUへのアプローチに不透明感を抱いている模様。次期首相候補として残った5名はきょう、1回目のテレビ討論会で直接対決する。テレビ討論会は各候補者の政策意図を合理的に判断できる最初の機会であるため市場の関心も集まりそうだが、討論会がポンドを動かすことはないと見られている。
各候補者は減税などの刺激策を示唆しているが、現在のマクロ環境下ではそれが必ずしもインフレ低下や成長につならず、ポンドロングを保証することは非常に困難との見解も出ていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美