前日のドルは米サービス業のPMIの予想以上の落ち込みで売りが強まった。ドル円も135円台まで下落する場面が見られたものの、137円台に下げを取り戻した。
市場はFRBの利上げ見通しに再び注目している。ドルは東京、ロンドンで着実に買い戻され、弱い米サービス業PMIで見られた損失の大半を取り戻している。FRBは明日から、ワイオミング州のジャクソンホールで年次総会を開催する。26日金曜日にはパウエルFRB議長がスピーチを行うが、それに関心が移っている。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁はインフレ期待を後退させるリスクに言及していたが、多くはパウエル議長が追加利上げが必要であることを改めて強調すると予想しているようだ。
円安のフォローがないことから、ドル円は以前のような急速な上げは見られていないものの、140円を再び試すとの見方は少なくない。
ユーロドルは一時パリティ(1.00ドル)付近まで急速に買い戻された。市場からは、ユーロは指標改善および利上げ期待が高まっても軟調な展開が続くとの声が出ている。前日は各国の8月調査のPMIが発表になり、ユーロ圏の総合PMIは予想を上回っていた。一方、米国はサービス業が予想を大きく下回り、為替市場もドル売りの反応を見せていた。しかし、きょうの値動きを見た限りでは、限定的な反応に留まっており、ユーロドルは前日の上げの大半を戻していた。一時0.99ドル付近まで下落。
FRBとECBが政策方針を変更する可能性は低いという。FOMC委員の最近の発言は、犠牲を払ってでもインフレ抑制を優先する姿勢を強調している。一方、ECBは積極利上げに慎重姿勢を崩していない。ユーロ圏ではガス不足の脅威が差し迫る中で、ユーロにとってのリスクはあくまで下振れ方向にあるという。好調な経済指標がいくつか発表されてもそれは変わらないとしている。
ポンドドルも一時1.18ドル台まで急速に買い戻された。英中銀による追加利上げ期待を市場が織り込んでいるにもかかわらず、ポンドがその恩恵を得られていないことは、ポンドにとって警戒すべきシグナルだとの指摘が出ている。
先週は英消費者物価指数(CPI)および英小売売上高が発表になっていたが、いずれも予想を上回る内容となっていた。それに伴い市場も英中銀の利上げ期待を引き上げている。しかし、それでもポンドは軟調な推移を続けている。英金利とポンドのパフォーマンスは新興国通貨のそれに近いという。名目金利が上昇しても、インフレが大幅に上昇しているため、実質金利はまだ低下傾向にあり、ポンドを圧迫しているとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美