下記のドル円の確率を見ると、来週以降8月末までに132円に一度でも到達する確率は前週の67.7%から51.3%に低下した一方、140円は47.8%と前週の47.9%とほぼ変わらずとなっている。
今週は本格的に下期相場入りとなったが、市場はリセッション(景気後退)への警戒感を高め、リスク回避の雰囲気が広がった。為替市場はドル買いが優勢となり、ユーロドルやポンドドルは安値を更新。ただ、ドル円については円買いが相殺し、他の通貨ペアよりも動きが小さかった。
上期はFRBを中心に中央銀行の積極引き締めがテーマとなっていた。ただ、それもほぼ形が見え、FRBであれば、今回の利上げサイクルのターミナル・レート(最終着地点)は概ね3.50-4.00%の範囲で織り込んでいる。到達時期は来年の前半。
市場はそれに対して、下期からのテーマを中央銀行の積極引き締めに伴うリセッション(景気後退)に本格的に移行している様子もうかがえる。今週は景気後退入りの確率を先週から上昇させ、保守的に見ても50%以上を想定しに行っているものと思われる。株式は事前に下げていたことから押し目買いも見られ、厳しい下げにはなっていなかったが、原油相場が一時100ドルを割り込み、米国債利回りは2-10年債で再び逆イールドを示現した。それに伴って為替市場はリスク回避のドル高・円高が強まっている。
恐らく景気後退入りは濃厚と市場も考えているものと思われるが、問題はその程度だ。現段階では「景気後退は不可避かもしれないが、浅い後退に留まる」というのが市場のメインシナリオであろう。
それを見極めるうえでも、今後はインフレ以外の経済指標も確認しに行く必要があるのかもしれない。消費者信頼感や企業景況感といった先行きを占うセンチメント系の指標はすでに低下の傾向を示している。それが今後、消費や生産、受注といった実体を示す指標に表れ、最後は雇用にどの程度影響するかがポイントとなりそうだ。
なお、米インフレについては、6月以降コモディティ価格の下落傾向が顕著に見られ、足元の賃金上昇も落ち着き始めている。市場では、現在の高インフレは秋から年末にかけてピークを打ち、来年以降は緩やかな上昇に戻るという見方が有力視されている。そうなると為替市場のドル高も反転するのかもしれない。
◆来週以降7月29日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:30.4%(33.9%)
139円:44.1%(44.6%)
週末終値:136.10円(135.21円)
133円:43.6%(67.7%)
132円:29.9%(54.1%)
131円:19.3%(41.9%)
130円:11.7%(31.4%)
◆来週以降8月31日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:47.8%(47.9%)
139円:59.3%(57.2%)
週末終値:136.10円(135.21円)
133円:62.5%(77.7%)
132円:51.3%(67.7%)
131円:41.0%(58.1%)
130円:32.0%(49.0%)
※ドル円のオプション取引から算出
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美