今週のドル円は136.70円近辺まで上昇するなど上値追いの流れを続けている。ドル自体は買いの動きが一服していたが、円安がドル円をしっかりとサポートしているようだ。ユーロ円も高値水準で推移した。
ただ、下記のドル円の確率を見ると、下値期待のほうが水準が高くなっている。週後半に伸び悩む動きを見せたことで、先週ほどではないが、下値期待を高めているものと思われる。来週以降7月末までに138円に一度でも到達する確率は56.6%であるのに対し、133円の確率は67.6%となっている。
ドル円の上値期待は依然として健全なものの、先週のFOMCを経てドル高に一服感が出ており、ドル円も高値警戒感が出ているといったところかもしれない。
市場はFRBの積極引き締めをだいぶ織り込んでいる。年内は3.25-3.50%程度まで、2023年にもう一段利上げを行って3.50-3.75%程度で利上げサイクル終了と見ているようだ。それまでに発表になるインフレの数字次第では、若干上下するといったイメージであろう。
そのような中で市場の関心は金利の行方から、積極利上げに伴うリセッション(景気後退)に焦点がシフトしている。来年の米経済は景気後退に陥るとの見方が増えつつあるが、いまのところ、景気後退に陥ったとしても、浅いものになるとのシナリオが有力視されている。景気後退入りする確率は30-50%との見方が多いが、FRBのエコノミストが今週公表したレポートでは、向こう1年で50%強、向こう2年で約3分の2とのネガティブな分析も出ていた。
米経済が景気後退入りとなれば、他国もおのずと同様の流れになることが多い。それらを鑑みれば、来年は世界的な景気後退というシナリオも考えられるであろう。日銀は主要国の中で唯一緩和姿勢を堅持している。円安対応で引き締めを望む声も多いが、日本のインフレはエネルギーや食品などには出ているものの、その他のカテゴリーは他国と比較すれば、まだかなり落ち着いている。少なくとも他国のように引き締めが迫られている状況ではない。来年は世界的な景気後退への不安も広まりつつある中で、日銀が引き締めに慎重になってもおかしくはない。
当面は金利差からの円安が続く可能性もありそうだが、景気後退が浅いものではなく、深刻なものになるとのシナリオが浮上してくるようであれば、リスク回避の円高のシナリオも留意される。ただ現状は、深刻な景気後退の可能性は低いと見られている。
◆来週以降7月29日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:33.2%(38.2%)
139円:43.9%(48.2%)
138円:56.6%(59.5%)
週末終値:135.23円(135.02円)
133円:67.6%(74.6%)
132円:54.1%(62.5%)
◆来週以降8月31日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:47.1%(49.3%)
139円:56.4%(58.0%)
138円:66.8%(67.6%)
週末終値:135.23円(135.02円)
133円:77.6%(81.4%)
132円:67.6%(72.1%)
※ドル円のオプション取引から算出
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美