きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って戻り売りに押され、一時142円台前半まで値を落とした。市場はこれまでのリスク回避の雰囲気を一服させており、為替市場はリスク回避のドル買いが一服している。
明日に米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、その結果待ちの雰囲気も広がっている。一部の米地区連銀総裁からは、今回の米CPIは9月FOMCの判断材料にはならないとの見解も出ているものの、内容によっては、FRBのタカ派見通しを後退させる可能性があるとの見方も出ている。米CPIが軟化したとしても、9月FOMCについては0.75%ポイントで変わらない。ただ、その後の11月、12月については緩む可能性が出てくるという。
米CPIは総合指数で前年比8.0%、前月比マイナス0.1%が見込まれている。ガソリン価格の下落が引き続き、総合指数を押し下げると見ている模様。ただ、コア指数については前年比6.1%の上昇が見込まれている状況。
ユーロドルは買い戻しが強まっている。ロンドン時間には一時1.02ドル台回復をうかがう動きも見せていた。短期筋のショートポジションの巻き返しが活発に入った模様。市場では再び米インフレのピークへの期待が高まっており、リスク選好の動きが見られている。そのような中でECB理事が追加利上げの必要性を示唆するなど、市場はECBのタカ派姿勢を改めて注目している模様。ECB理事のナーゲル独連銀総裁は、「現在の消費者物価のトレンドが続く場合、ECBには利上げ継続が求められる」と語っていた。
ECBは先週、0.75%ポイントの利上げを実施し、FRBとの金利差が縮小している。市場ではECBのさらなる大胆な利上げを見込む声が増えており、来月も0.75%ポイントの追加利上げへの期待が高まっている。確率は60%程度で織り込んでいるようだ。ただ、ユーロドルの買い戻しは一時的で、上値での売り推奨が根強くあるのも事実。
ポンドドルも買い戻しを強め、一時1.17ドル台に上昇した。21日線が1.1730ドル付近に来ており、目先に上値メドとして意識される。
きょうは7月の英月次GDPが発表され、前月比でプラス0.2%となっていた。前月はマイナス0.6%。ただ、市場の予想は下回った。6月は崩御したエリザベス女王の即位70周年を記念する祝日があり経済活動が落ち込んでいたが、7月に入ってもその分の回復はならなかった。エリザベス女王の崩御で英国では、先週から10日間の喪に服しているほか、国葬で19日が公休日になることで、9月の成長も不調と見られている。8月も生活危機が叫ばれる中で、大幅な成長は期待しづらい。
市場からは、英経済は7ー9月期(第3四半期)もマイナス成長に陥る可能性が濃厚で、第2四半期もマイナス成長だったことから、テクニカル的なリセッション(景気後退)に陥るとの見方が強まっている。トラス首相が光熱費の上昇を抑えようと一連の対応策を発表し期待感は高まっているものの、その効果はまだ先で、足元は物価高騰と値上がりする光熱費に苦しんでいる状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美