市場からは、ECBがFRBと同様の引き締めを実施できるか懐疑的に見ていることがユーロを圧迫しているとの指摘も出ている。ECBはユーロ圏の国債市場の断片化(フラグメンテーション)リスクへの対処を迫られており、今月の理事会では、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で保有した国債の償還をイタリアなど南欧債の購入に充てる政策を打ち出すと見られている。その場合、FRBがコミットしているような強力なバランスシート縮小は実現できない。
一方、域内のインフレ圧力は続いており、この日発表の6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は8.6%まで加速し、過去最高を更新した。ECBには大幅利上げを求める声も強まっている。
ECBは、断片化対策と利上げという、相反する綱渡りのような政策を同時に行おうとしており、それはユーロにとって圧迫要因になるという。
ユーロ圏消費者物価指数・速報値(6月)18:00
結果 8.6%
予想 8.5% 前回 8.1%(前年比)
結果 3.7%
予想 3.9% 前回 3.8%(コア・前年比)
結果 0.8%
予想 0.7% 前回 0.8%(前月比)
EUR/USD 1.0405 EUR/JPY 140.74 EUR/GBP 0.8652
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美