9日の海外市場でドル円は、欧州時間に昨年11月27日以来の高値となる149.58円をつけるも、ニューヨーク時間では149円前半で伸び悩んだ。ユーロドルが1.0795ドルまで買われる場面があった。米当局が12月消費者物価指数(CPI)の前月比を下方修正したことがドルの重しとなった。
本日のアジア為替市場では、東京・香港・シンガポールと主要市場の参加者がほぼ不在となるなか、円相場は先週後半のレンジをなぞる動きとなりそうだ。ドル円は、「日米金利差がまだ暫く拡大したまま」との見通しの高まりを背景に、地合いの強さは基本的に継続か。明日の米国時間には、今週の重要イベント「1月米消費者物価指数(CPI)」の発表を控えている。結果を見極めてからという雰囲気は広がるかもしれないが、節目150円が着実に視野に入ってきたのは確かだ。
投機筋の動向を、先週末に商品先物取引委員会(CFTC)に発表した先物ポジション状況から確認してみる。ネットの円ショートは前週から3700枚ほど拡大し、8万4000万枚をやや超えた水準だった。昨年末から年初にかけては5万5000枚超のネットショートだったことを考えると、円売り持ち高は着実に積み増されている。また今回の数値は6日時点であり、内田日銀総裁のハト派発言で円安が大きく進んだ8日分が入っていない。いずれにせよ、昨年11月には約13万枚まで円ショートが拡大していたことを考えると、投機筋の円売り余力はまだあると見てよいだろう。
米連邦準備理事会(FRB)当局者から早期利下げ観測をけん制する発言が相次ぐなか、市場は「3月米連邦公開市場委員会(FOMC)では据え置き継続」との見方が主流だ。ただし、その次の会合4/30-5/1では0.25ポイントの引き下げとの見方は根強い。今後も1回目の利下げ開始時期に対する思惑がドル相場を左右することになるか。
なお先週末の米株式市場で主要3指数は、ダウ平均が小幅に反落したものの、その他2つは続伸して終えた。特に史上最高値を更新し続けているS&P500が初めて5000ポイントの大台を上回って引けた。米金利は上昇基調ではあるものの、経済はソフトランディングするとの楽観論が広がっている。過熱警戒感は燻り続けてはいるが、為替市場では流れを素直に受けたとめたリスク志向の円売りが続くことなりそうだ。
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