昨日のニューヨーク為替市場でドル円は昨年11月半ば以来の高値となる150.89円まで急伸した。ユーロドルも1.0701ドルまでユーロ安ドル高に振れた。序盤に発表された1月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを受けて米長期金利が上昇し、ドル買いが強まった。
本日の東京為替市場では、日米金利差の拡大を背景にドル円は昨年11月以来の151円台を意識しながらの取引が見込まれる。一方でクロス円は、米金利上昇を嫌気して軟調なまま終えたNY株式市場の流れをアジア株も引き継ぐようであれば、リスクに敏感なオセアニア通貨を中心に上値重い展開となるかもしれない。
昨日発表された1月米CPIは前月比/前年比ともに市場予想より強い結果となった。前年比総合は3.1%と前回値よりは伸び率は低かったものの、同コアは3.9%と前回12月分に並んだ。インフレ鈍化基調が止んだことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退。米10年債利回りも4.31%台と前営業日比で約13ベーシスポイント(bp)上昇している。時間外の同債利回りは調整が入るかもしれないが、あくまで「調整の範囲内」に留まることになりそうだ。
CMEのFF金利先物レートから米連邦公開市場委員会(FOMC)の変更確率が示されるFedWatchでは、3月会合は据え置きがほぼ確定、4/31-5/1会合も据え置き織り込み度が65%と1週間前から30%以上も拡大した。現状、25bpの米利下げ開始は6月会合からと市場は見ているが、それでも1週間前までわずかだった同会合における据え置き織り込み度が3割弱まで高まってきた。
一方、先週の内田・日銀副総裁がハト派な見解を示して以降、日本のマイナス金利解除は後ずれするとの見方が広がっている。また、春闘で賃上げ圧力の高まりが確認されて政策修正が行われたとしても、本邦長期金利の上昇幅は米国ほどではないのは確か。日米金利差は拡大したままであれば、ドル円の売り圧力は高まりづらいだろう。
なお、日本では新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まって1カ月以上が過ぎた。1月の流入額は1.8兆円を超え、その多くは投信に向かっているもよう。日経新聞がまとめた新NISAの投信購入ランキング(1月分)では、1位は世界株、2位から6位までが米国株だった。このまま個人の外物投資が続くようであれば、円売り需要はまだ続くことになりそうだ。
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